「殴られる男」 原題"The harder they fall" 1956年製作 http://www.imdb.com/title/tt0049291/#comment
マーロン・ブランド主演1954年「波止場」のB・シュールバーグ原作。 ボクシングを題材にした社会派サスペンスで、これがボギーの遺作となった。
*ハンフリー・ボガード(1899~1957年) 外科医の父とイラストレーターの母の間にニューヨークで生まれる。4番目の妻 ローレン・バコール(1924年~現在)との間に一男一女がある。
先日のボクシグ、亀田ーランダエタ戦の様子が知れ渡った後で見ると 興行の世界が奇妙にリアル感をもって迫ってくる映画である。
粗筋はスポーツ・ライターのエディ(ボガード)が、 マネージャーのニック(R・スタイガー)から新人トロ・モレノ(M・レイン)の 売り出しを依頼される。トロは大柄だが見かけ倒しの男で、実は八百長で勝ち進んでいく。
チャンピオン戦にまで担ぎ出せば、今度はそこにかかる大金を目当てに、 相手側に賭けて--というのがニックらの算段だ。真実を明かされた トロはシャカリキになるが、結局及ばずダウンし入院する始末。
ボクサーとしての収入はいろいろ経費を引かれた末に 47ドル99セントしか払われないアルゼンチン出身のボクサー、トロに対して 義侠心に目覚めたエディはニックから貰った金をそっくり渡し、トロを故郷に逃がしてやる。
スポーツとはいえ、興行という観点から眺めるボクシングという 裏の世界が透けてくる秀作である。
*Tagline: No Punches Pulled! If you thought "On The Waterfront" hit hard... wait till you see this one! (キャッチフレーズ:「波止場」がするどく社会を切り込んだ作品だと思っているあなた ・・これを見るまではやまらないで!)
*Memorable quotes from the movie映画の台詞から
*Nick Benko(興行主催者): The people, Eddie, the people!
Don't tell me about the people, Eddie. The people sit in front of their little TVs with their bellies full of beer and fall asleep. What do the people know, Eddie? Don't tell me about the people, Eddie!
(大衆だって、エディ!大衆なんて小さなTVの前で ビールでお腹を膨らませて寝ているだけなんだ。 大衆が何を知っているというんだいエディ? 知ったかぶりをするんじゃないぜ。)
*Nick Benko: The fight game today is like show business. There's no real fighters anymore, they're all actors. The best showman becomes the champ!
(今の時代のボクシングなんてショービジネスのようなものさ。 本当のファイターなんていやしない。奴らは皆役者なんだ。 そして一番うまい役者がチャンピオンになるって訳さ。)
*Nick Benko: Don't fight it, Eddie! What are you trying to do, hold onto your self-respect? Did your self-respect help you hold your job? Did your self-respect give you a new column?
(逆らうんじゃない、エディ!何をしようとしているんだ、 自分に敬意を払おってのかい?その敬意が仕事を守ってきたのかい? その自分に対する敬意が新たなコラムの仕事を運んできたのかい?)
*[Willis tells Toro to throw his fight with Buddy Brannen to avoid getting hurt] Toro Moreno: I don't know, I don't know. What would people think of me? Eddie Willis: What do you care what a bunch of bloodthirsty, screaming people think of you? Did you ever get a look at their faces? They pay a few lousy bucks hoping to see a man get killed. To hell with them! Think of yourself. Get your money and get out of this rotten business
[ウィルスがトロに怪我をしない前にチャンピオンとの試合を途中で投げるように忠告する]
(トロ:大衆が俺のことをどう思うか、知らない,気になるんだ。 ウィリス:血を見ることに飢えていて、 叫んでいる大衆のことに何を気を使っているんだ?
奴らの顔を見たことがないってのか? わずかな金を払って人が死ぬのを見たがっている連中なんだ。 地獄へ落ちやがれだ。金を貰ってこの腐れきった仕事から抜け出すんだ)
*トロ役は1950年代にプロレスラーでリングネーム、ターザン・マイクと 名乗っていた2m3cmの大男である。174cmのボギーが小さく見える。 その撮影のとき、すでに喉頭ガンだとわかっていて、時おり声がかすれ、 声だけスタジオ収録した部分もあるという。
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コメント(2)
日本語文&英文、両方あると見比べられてラッキーです!!
2006/8/22(火) 午後 10:45[ - ]返信する
コメディは言葉遊びがメーンだと日本語には訳せないですね。特に、しゃれ(pun)は翻訳不可能なところもあります。また英語圏と日本とではユーモアの感覚の違いもあるので、面白いかどうかは保障しかねます。(苦笑)
2006/8/23(水) 午前 11:57返信する